乳児血管腫(いちご状血管腫/苺状血管腫)

乳児血管腫(いちご状血管腫/苺状血管腫)とは

乳児血管腫は未熟な毛細血管が増殖してできる赤アザです。見た目が赤く、いちごのような外観から、「いちご状血管腫」とも呼ばれます。生まれつきのあざではなく、赤ちゃんの生後数週以内に湿疹のような状態で現れ、表面があかく凸凹したいちご状になり急速に範囲が広がったり盛り上がったりするようになります。
(稀に生まれつきの先天性血管腫もあります。)

どんなところにできますか?

血管があるところならどこにでもできる可能性があります。
頭部、顔面など、首から上に多くみられます。

形や大きさ、数は?

局面型、腫瘤(しゅりゅう)型、皮下型の3タイプに分類されます。円形・楕円形のような角のない丸みのある形で、1cm以下の小さなものから、10cm以上の大きなものや広範囲に及ぶものもあり、さまざまです。1ヵ所だけのことが多いのですが、2ヵ所以上、ときには数十個と多発することもあります。

赤みは自然に薄くなっていくが、「あと」が残る

乳児血管腫(いちご状血管腫)は、一般的に生後1~4週にあらわれ、大きくなる場合は1年以内、特に3~7ヶ月頃までに急速に大きくなり(増殖期)、その後90%以上は5~7歳までに数年間かけて赤みが少しずつ消えていきます。(退縮期)
大きくなった腫瘤は退縮後も、ぶよぶよとした皮膚や赤みが残ります。
また、増大した腫瘤の血流が悪くなり、潰瘍化することもあります。

治療について

ほとんどのケースで自然消退するので以前は経過観察が一般的でした。
現在は色素レーザー治療が保険適応となり、さらに内服療法も保険適応となったことで、早期からの積極的な治療が望ましいと考えられています。
乳児血管腫(いちご状血管腫)に対する治療は、血管腫が大きくなるのを抑えて、「あと」(瘢痕:はんこん)が残るリスクを減らしたり、小さくなったり赤みが減るのを速めたりすることを目的に行います。治療により病変が小さくなる、あるいは赤みが薄くなるなどの改善が多くのお子さんでみられます。
乳児血管腫は早くからレーザー治療を始めるほうが治療回数も少なくなります。また、レーザー治療による皮膚のダメージもほとんどありません。
当院ではVbeamⅡという色素レーザーを使って治療を行います。
色素レーザーは血管を流れる赤血球の中の酸化ヘモグロビンに選択的に吸収されることで血管に熱を与えて閉塞させていきます。
増殖期の間は毛細血管の増殖とレーザーで血管を閉塞させていくことの綱引き状態になりますので、レーザー治療を行っていても増大や潰瘍化を起こすことはあります。
(レーザーにより悪化したのではなく、レーザー治療をしても悪化を抑えきれなかったということです。)
保険治療でのレーザー照射は基本的に3カ月に1回行います。
増大傾向が強く3ヶ月に1回の保険での治療では押さえきれなかった場合や、少しでも早く治療したいという場合には、希望により1~2ヶ月毎の自費治療を行うこともあります。
その他、部位や大きさ、増大傾向によってはプロプラノロール(βブロッカー)内服治療を平行して行います。
また、乳児血管腫退縮後の赤みの残存に対しても色素レーザーは効果があります。
乳児血管腫の色素レーザー治療は増殖を押さえる治療も残った赤みに対する治療も保険適応です。

治療時期について

乳児血管腫が出てきたら、出来るだけ早期に治療を開始することをおすすめします。
当院ではレーザー専門医・小児形成外科分野指導医として、早期からの積極的な治療を行っております。

早期からのレーザー治療のメリット

・増大期に治療を行うことにより、増大を抑制することが期待されるため、瘢痕化や機能障害のリスクが低くなる。
・同様に、潰瘍化を抑制することが期待できる。
・1歳未満のお子さんは痛みをすぐに忘れてくれる。
・赤みも早く改善する可能性が高く、ご家族の精神的な負担の軽減が期待できる。

レーザー治療に関しての注意点

眼の近く等では危険なためレーザー治療が出来ないことがあります。
また、増大傾向が強く、3ヶ月に1回の保険治療では抑えきれない場合や、少しでも早く治療したいという御希望により1~2ヶ月毎のレーザー治療を行う場合には、保険が適応できなくなるため自費治療となります。

レーザー治療以外の治療

プロプラノロール(βブロッカー)の内服治療があります。
元々が高血圧や狭心症の薬ですので、慎重な投薬が必要な薬です。
非常に効果的な治療なので、有益性が危険性を上回っていると判断されるときには積極的に使用します。
具体的には眼の近く等でレーザー治療が出来ないとき、急激な増大を示すとき、もともとの大きさが非常に大きいとき、鼻や口、首などで呼吸や食事(ほ乳)の妨げになるなど、機能や発達に障害を及ぼす場合、眼や耳を塞ぐなど感覚器に影響を及ぼす危険性がある時などになります。
当院では内服治療は行っておりませんので、内服治療が必要な場合には他院を紹介致します。
内服治療を行っていても、平行して当院で保険でレーザー治療を行うことが可能です。

レーザー治療も内服治療もなるべく早期に始める方が経過が良いとされております。
お子さんに乳児血管腫が出来てお悩みの方は、早めの受診をお薦め致します。

形成外科アザ,レーザー

Posted by 中野 貴光