水虫・白癬
水虫は、とてもポピュラーな感染症です。男女を問わず、また若い人にもよく見られます。今では日本人の5人に1人が感染しているという調査結果も出ています。新たに皮膚科を受診する人の約1割が水虫です。
適切なくすりを根気よく塗り続ければ、水虫は完治します。水虫を放置しておくと、他の部分にも広がって治りにくくなるばかりでなく、周りの人にもうつしてしまいます。
爪に感染して爪白癬になると、治すのが大変になります。最近では良い塗り薬が出ましたが、長期間の治療が必要になります。
水虫を疑ったらまずは医師の診察を受けましょう。
水虫の原因は?
水虫は医学的には足白癬を意味し、手の水虫は手白癬と呼ばれています。この白癬というのは、「白癬菌」というカビの仲間によって起こる感染症です。実は、白癬菌は1種類ではなく、世界で40種類ほどの種類が有り、日本ではそのうち10種類ほどが人に感染します。「白癬菌」はケラチンというタンパク質を栄養にしていますので、ケラチンの多い皮膚表面の角層に感染します。毛や爪は皮膚の角層が変化したものですので、この部位にも感染します。粘膜はケラチンがほとんど無いので、口の中には感染しません。
水虫のタイプ
趾間型
最も多い病型で、足の指の間が白くふやけて皮がむけます。白くふやけない乾燥したタイプも見られます。
小水疱型
土踏まずや足のふちの一部に赤みをともなった小さな水ぶくれができます。
角質増殖型
足底の全体、とくにかかとの部分の角質が厚くなり、ヒビ、あかぎれのように足の裏全体が固くなる稀なタイプです。 1年を通して症状はあまり変化しません。
趾間型と小水疱型では「足の指の間や足の裏がかゆい」、「足の指の間がふやけて白くなったり、ジュクジュクする」、「足の指の間や足の裏の皮が剥ける」「足の裏に小さい水疱ができる」などの症状が毎年夏になると生じ、秋になると自然に治ります。その様なエピソードがある場合は、足白癬の可能性が高くなります。
水虫はどうしてうつるのか?
温泉場や銭湯、あるいは足白癬患者がいる家庭の足拭きマットには、ほぼ100%白癬菌が存在します。入浴後にそのようなマットを利用すると、白癬菌が足に付着します。健康な肌の場合はそのまま素足でいれば、足が乾燥し、足に付着した白癬菌は剥がれ落ちますが、白癬菌を付着したまま靴下・靴を履き続けると、長時間白癬菌が足に付着して足白癬になってしまいます。そして足白癬になった人が、今度は家庭内の足白癬の感染源になり、家庭内の畳、床、スリッパなどに白癬菌をばらまくことになります。そうすると同居している足白癬でない人もやがて足白癬になってしまう可能性がでてきます。
水虫はどうやって予防するのか?
白癬菌が付着しても、健康な皮膚の角層に侵入するまでは、1日ほどかかると言われています。つまり、 白癬菌が皮膚に長い間付着し続けて、高温多湿などの条件が整うと、水虫になるのです。温泉や銭湯、プールに行った後は、部屋に帰った後にもう一度足の裏だけ洗って、乾燥させると良いでしょう。家族に水虫の人がいる場合には、その人の水虫の治療をすることが一番の予防です。
塗り薬の使い方
お風呂上りが効果的です。皮膚がやわらかくなっているので、くすりが浸透しやすくなっています。
水分をきちんとふき取ってから塗りましょう。
白癬菌は周りにも広がっている可能性が高いので、症状がある部分よりもより広めに、足の裏全体から、指の間まで、塗り残しなく塗りましょう。毎日塗り続けましょう。
症状がなくなったように見えても、白癬菌は皮膚の中で生きているかもしれません。皮膚が生え替わるまで、1ヶ月以上塗ることが大事です。
しっかり塗り薬を塗ると、通常2週間ほどで良くなります。多くの方はそこで治療をやめてしましますが、そうすると生き残った白癬菌がまた増殖して再発するのです。
爪白癬の場合には、通常の塗り薬では治りません。以前は長期間の内服治療が必要で、肝機能障害などの副作用の心配がありました。
しかし、2014年に爪白癬専用の塗り薬が発売され、以前より安全に治療できるようになりました。
爪が肥厚している場合には薬を浸透しやすくするために肥厚した爪を削って薄くするなど、爪処置も重要になります。