ケガ(切り傷、刺し傷など)
ケガはいくつかの種類に分かれます。
切り傷(切創)とはガラス片や刃物など鋭利なもので切れたキズです。
挫創(ざそう)とは石などの鈍的なもので生じた皮膚の損傷であり、切り傷に比べて創部周囲の損傷が高度なことが特徴です。
刺し傷(刺創)はナイフや釘などが刺さった傷です。皮膚表面の傷が小さくても筋肉や血管・神経など奥深くにダメージがあることが有り、注意が必要です。
いずれにしても、ケガの場合には早期の適切な処置が必要です。
1.創部を洗う
まずは、傷をキレイにする必要があります。汚れたままだと細菌感染を起こすリスクが高くなります。また、泥や砂などの異物が入ったまま治ると皮膚の中に異物が閉じ込められたまま治り、入れ墨(外傷性刺青)になります。まずはキレイに洗って汚れを取る必要があります。消毒液は必要無いどころかむしろ有害とされており、水道水か生理食塩水で洗います。痛みを伴うので、病院やクリニックでは先に麻酔をする場合もあります。
2.重要組織の損傷を確認する
手足では神経・血管・腱などが比較的浅い部分にあるため、それらの損傷を伴いやすいです。顔面では顔面神経(顔の筋肉を動かす為の神経)・涙小管(涙の通り道)・耳下腺管(唾液の通り道の1つ)などの損傷を伴いやすいです。それらの重要な組織の損傷が無いかどうかを確認し、損傷がある場合には早期に適切な処置を受ける必要があります。神経や腱などの損傷の有無は麻酔を先にしてしまうとわからなくなる場合があります。確認方法を熟知した医師でないと、確認する前に麻酔や処置を行ってしまい、確認が困難になる場合があります。
3.傷を縫合する
麻酔をした後に、組織をなるべく元の位置に戻すように縫合を行います。挫創で組織のダメージが大きいときには、壊死すると思われる部分を切除してから縫合する場合があります。重要組織の損傷がある場合には、それぞれを縫合・修復します。後日の修復はとても難しいので、なるべく受傷後早期の修復が望ましいです。どの様に縫合するかで、傷の治り方も違いますし、傷跡も異なります。酷いときには眉毛が段差になったり、目尻の位置が変わってしまうこともあります。
「後日形成外科で縫い直してもらって下さい。」などと無責任なことを言う医師もいますが、基本的によほどのことが無い限り再度縫い直すということは行いません。(縫い直すときに縫合の医療費を請求すると、保険の二重請求になります。どちらかが無償で行うか、縫い直しは自費になってしまうのです。)最初から、きちんと縫合することが重要です。
当院では形成外科専門医として傷を専門的に評価し、状況によっては縫合やり直しも承ります。
傷跡や治りが心配な方は御相談下さい。