デュピュイトラン拘縮(こうしゅく)

デュピュイトラン拘縮(こうしゅく)とは

手のひらにしこりができ、指が曲がって伸ばせなくなる病気です。
デュプイトラン拘縮とも呼ばれます。
手のひら(手掌)の皮下にある手掌腱膜(しゅしょうけんまく)という帯状の線維組織(せんいそしき)が次第に硬くなっていく病気です。指が内側に曲がっていき、最終的にはかぎ爪のような手になることがあります。
中年男性に多く、進行性であり、中指、環指(薬指)、小指に症状がでます。両側性の発症が多く(40%~50%)、通常痛みは無く、自然には回復しません。

旭化成ファーマ株式会社 ザイヤフレックス患者啓発冊子2頁より

 

症状

手掌から指にかけて拘縮索(こうしゅくさく)とよばれる硬結(こぶのようなもの)ができ、皮膚がひきつれて徐々に伸ばしにくくなります。薬指(環指)、中指、小指に多く見られます。足の裏にも同じようなものができることがあります。通常痛みや腫れなどはありませんが、一時的に痛み腫れが出る場合はあります。指を曲げる腱が浮き上がっているように触れるかもしれませんが、それは手掌腱膜(しゅしょうけんまく)が肥厚し退縮したものです。
指が曲がって伸ばせないことにより日常生活に不便をもたらすようになります。

原因

詳しい原因は不明です。45歳以上の男性に多く、糖尿病患者に多く見られます。家族歴 が多く、 60%~70%の人にデュピュイトラン拘縮の遺伝的傾向をもつと言われます。ロッククライマーやアルコール依存症、てんかんの患者さんにも多いと言われます。この病気は50%の患者で両手に発生します。片手のみに発生する場合、右手の方が左手より2倍多く発生します。一説には手掌腱膜(しゅしょうけんまく)への小外傷の繰り返しで生じるのではないかと考えられています。

診断

腱の断裂や癒着、腫瘍などのほかの病気と区別する必要がありますが、手の硬結と典型的な指の変形などにより、手外科専門医が見れば容易に診断がつきます。

治療

以前は手術が唯一の治療手段でしたが、2015年よりコラゲナーゼというコラーゲンを分解する酵素を拘縮索(こうしゅくさく)と呼ばれる肥厚した手掌腱膜(しゅしょうけんまく)に注射することで治療が出来るようになりました。手掌腱膜にコラーゲンが異常に沈着しているので、それを溶かしてしまうという治療です。
注射による治療は2日に分けて行います。まず初日にコラーゲン分解酵素を病変部位に注射します。翌日に、再度来院して頂き、指を伸ばすことによりコラーゲンが溶けて弱くなった拘縮索を切ります。酵素の反応で治療当日は痛みを生じる可能性があるため、痛み止めを処方します。入院は不要で、外来のみで治療可能です。よくおこる合併症としては、痛み、内出血、腫れなどが当日~翌日に見られます。皮膚のコラーゲンにも反応すると皮膚が裂けることがありますが、その場合には軟膏治療などを行います。
注射する深さの微妙な調整が必要なので、講習を受けてライセンスを得た手外科専門医以外は出来ない治療となっております。
手術の場合には入院が必要で、数週間は手の安静を保たなければならないので、日帰りで可能な注射療法は画期的な治療と言えるでしょう。
左手の手術後に右手に再発したケースで、注射で治療したことがありますが、注射の方が断然楽だったとの御意見でした。
症状が進行すると注射での改善が困難なケースも出てきますので、症状が出てきたら早めの治療をお奨め致します。

2018年9月現在、練馬区で注射での治療が可能なのは関町病院と当院のみです。
その他近隣では板橋区で4箇所、豊島区で1箇所、中野区で1箇所、杉並区で2箇所です。
詳しくはデュプイトラン拘縮研究会のHPで御確認下さい。

2019年1月18日形成外科

Posted by 中野 貴光