[教えて!中野先生] 手をケガしたらどうしたらよいの?

切り傷の場合

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さとみさん

先生!包丁で指を切ってしまいました!診察してもらえますか?
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中野院長

どれどれ?指は動かせますか?指先の感覚はありますか?
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さとみさん

指は動きますし、指先の感覚もありますが、出血が思っていたよりも多いです!
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中野院長

指先はとても血が出やすい部位なのです。切った所を押さえて、心臓よりも上にしてしばらくすると血は止まります。
指の根元をしばる人もいますが、緩いとむしろ血が出やすくなりますし、強すぎると皮膚や神経にダメージが残る事がありますから、しばらない方が良いですよ。
指の動きと感覚が問題無ければ、神経や腱など大事なものは切れていないということですからまずは一安心です。
早速治療を行いましょう。
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中野院長

どれどれ、、、これは縫合した方が良いですね。
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さとみさん

えっ!縫わなくては駄目ですか?痛そうで怖いんですけれど・・・
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中野院長

縫える傷は縫ってしまう方が良いですよ。
縫った方が良い理由は2つあります。縫うことによって傷が閉じますから、治るまでの間の痛みが少なくなります。また、指は動かしたりぶつけたりすることで傷が開きやすい部位なので、縫った方が治りが早いんです。
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中野院長

治療方法ですが、麻酔は、感覚が鋭い指先でなく、指の根元に注射します。
指先に傷があって手を洗う度にしみて痛いよりは、1回だけ麻酔の注射を我慢して治療をする方が良いと思いますよ。
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さとみさん

わかりました・・・。では宜しくお願いします。
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中野院長

では、麻酔しますね・・・。
<数分後>
はい、縫合が終わりましたよ。数日間は出血のリスクがありますからお酒や運動は控えて下さいね。
消毒は必要ありませんので、石鹸と水道水で洗って、処方した軟膏をつけて絆創膏を貼って下さい。
指はよく動くところなので、少し長めに抜糸までの期間をとります。10日~2週間ほど経ったら抜糸に来て下さいね。
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さとみさん

えっ!もう終わったんですか?
最初の麻酔がちょっと痛かったですけど、後は何にも感じないんですね。
ありがとうございました。

2週間後

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さとみさん

抜糸も全然痛くありませんでしたし、御陰様で縫合した後も痛くありませんでした。
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さとみさん

先生、今後ケガをしたときにはどうすれば良いか教えてもらえますか?
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中野院長

今回の様な包丁などによる切り傷は深かったら縫合した方が良いですね。
もしも、指が動かない場合には腱が切れている可能性がありますし、指先の感覚が無い場合には神経が切れている可能性があります。
その様な場合には手のケガを専門的に診察出来る形成外科医か整形外科医に見てもらう必要があります。では、次によくある傷としてスライサーなどで皮膚を切り落とした場合を説明します。

皮膚を切り落とした場合

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中野院長

スライサーや包丁などで皮膚を切り落としてしまうというのも、実はとてもよくあるケガなんです。
皮膚を切り落としてしまった場合に、一番大事なのは、切り落とした皮膚を探して、一緒に病院やクリニックに持って行くことです。
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さとみさん

えっ?落としてしまった皮膚が必要なんですか?料理中ですとお肉や野菜に紛れているかもしれませんし、シンクに流れてしまっているかも知れませんが、探した方が良いですか?
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中野院長

はい。絶対に探して持って行った方が良いです。
切り落としてしまった皮膚でも、縫合するとくっつく可能性があります。
それが一番痛くなく、きれいに、早く治す方法です。
もし、くっつかなくても自分の皮膚で覆う方が、どんな軟膏や被覆材(キズを覆うための医療材料:絆創膏やキズパワーパッドなど)よりも治りが早くなります。
指は皮膚の余裕が少ないので、皮膚を切り落とし(そぎ落とし)てしまった場合は縫うことが出来ない事が多く、その場合には皮膚が再生するまで軟膏治療などを行うことになります。
治るまでしみて痛いですし、治りも悪くなります。
皮膚を持ってきて縫い付ける治療が100点とすると、皮膚が無くなってしまって軟膏などで治す治療は30点ぐらいになると思った方が良いです。
ケガをして連絡無く直接受診した場合には、皮膚を取りにもどってもらうこともありますよ。
その苦労と時間をかけるだけの違いがあります。
もちろん傷の状態や持ってきた皮膚の状態によっては使用しない事もありますが、あれば治療の選択肢が増えますよね。
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さとみさん

それは知っておいた方が良い知識ですね!
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中野院長

ケガをしないのが一番なので、その知識を使わなくて済むのが良いですが、誰かがケガをしたときに役に立つ知識ですね。
皮膚を持って行く際には、濡らしたガーゼやキッチンペーパー、ハンカチなどで包んで、乾かないようにして下さい。
時間がかかる場合には冷やして持って行く方が良いですが、水につけてふやかしてしまったり、氷に付けて凍らせるのはよくありません。

ヤケドをした場合

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中野院長

お湯をかけた、熱い鍋に触ってしまったなど、手はヤケドもしやすい場所ですよね。
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さとみさん

私も、熱い鍋に触ってしまったことがあります。とても痛いですよね!
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中野院長

ヤケドをしたら、まずはすぐに冷やして下さい。5分から30分くらい流水で冷やすのが良いです。
手のひらは皮膚が分厚いのであまり深いヤケドにはならないことが多いのですが、手は特殊部位とよばれる部位であり、深いヤケドの場合には注意が必要です。特に赤ちゃんが熱い物を握ってしまった場合や、炊飯器の蒸気でヤケドしてしまった場合などは深いヤケドになりやすくなります。大人でも炎に触れてしまったり、熱した金属では深いヤケドになる可能性があります。
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さとみさん

深いヤケドかどうかってよく判らないと思うんですけど、どうしたら良いですか?
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中野院長

ヤケドの診断・治療はとても難しいので、心配でしたらヤケドの専門医(熱傷専門医)に見てもらうのが良いですね。深いヤケドの場合、適切な治療をしないとひきつれてしまうことがあり、手の機能に大きな問題を起こす可能性があります。適切な時期に適切な治療を行う必要があり、手の深いヤケドは例え小範囲でも熱傷専門施設での専門的な治療が必要になることがあるのです。

犬や猫に咬まれた場合

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中野院長

犬や猫に咬まれる、引っかかれる。というのもよくあるケガですね。
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さとみさん

知り合いのお家のワンちゃんがすぐに咬むので問題になっているらしいです。飼い主さんも何度も咬まれたとか。
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中野院長

犬・猫に限らず、人でもそうなのですが、口の中はとても細菌が多いので咬まれてしまったら高い確率で化膿してしまいます。
数日後にパンパンに腫れてしまい、治るまでに何ヶ月もかかった人も見たことがありますよ。
初期治療として、まずはしっかりと流水で洗い流して下さい。血が出てもむしろ血で中から洗う位のつもりで良いので血が出ても洗って下さい。
猫に咬まれた傷の場合、猫の牙は人や犬より細いので、うまく洗えなくて化膿するリスクが高く、特に注意が必要です。
抗生物質を最初から飲む事をおすすめします。
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さとみさん

引っかかれた傷も同じですか?
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中野院長

咬まれた場合と一緒で、最初にしっかり洗うことが最も大事です。
猫に引っかかれた場合、「猫ひっかき病」という感染症にかかる事があります。
バルトネラ・ヘンセレという菌が原因なのですが、猫に引っかかれた場合にはそれに適した抗生物質を使用することが多いですね。
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さとみさん

猫ひっかき病なんて、そのままの名前の病気があるんですね!?
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中野院長

めずらしい名前の病気ですよね。でも、それが正式な名称です。猫自体はその菌に感染しても何の症状も出ないそうです。
いずれにしても、手は機能的にも整容的にも体の中で非常に重要な部分です。
手を専門に見る手外科専門医というものがあるぐらいですし、ヤケド(熱傷)も、手は特殊部位なので熱傷専門医による治療が推奨されています。
ケガをしないのが一番大事ですが、もし手で深いケガをしてしまったら、専門医に診察してもらう方が良いですね。
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さとみさん

わかりました!
ケガをしないように気を付けますね!

2020年9月27日教えて!中野先生ケガ,外傷,手術

Posted by 中野 貴光